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イントロダクション
「いかさま」という言葉がありますね。
いかにもそのように見える偽物という意味で偽物とかごまかし物のような意味で使われます。いかさま占いとかいかさま師など。
古い辞書に「謬」(間違い、誤り)の読みとして「いかさま」と書いてあるとか。
また、粋な江戸時代の説では、イカ(海に泳いでいる)の墨で借用書を書くと1年位でいつの間にか消えてしまう。
借金を踏み倒す事ができるのだという。
令和 2年度 第 9問
〔問 9〕
共用部分及び敷地の共有持分の割合が等しいA、B、C及びDの区分所有者からなるマンション(この問いにおいて「甲マンション」という。)が地震によって滅失した場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものの組合せはどれか。ただし、同地震は、被災マンション法に基づいて政令の指定を受けた大規模災害ではないものとする。
ア 甲マンションの全部が滅失した場合には、A、B、C及びDのいずれの者も、他の者に対し、甲マンションの敷地について、分割を請求することができる。
イ 甲マンションの滅失がその建物の価格の2分の1を超える部分に相当する部分の滅失である場合に、復旧に反対した区分所有者Aは、復旧に賛成した区分所有者の全員に対して、Aの建物及び敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができるが、復旧に賛成した区分所有者のいずれか一人に対して請求することもできる。
ウ 甲マンションの滅失がその建物の価格の2分の1以下に相当する部分の滅失である場合において、共用部分の復旧は常に集会の決議によるものとし、区分所有者単独での共用部分の復旧は認めないとする旨の規約を設定することはできない。
エ 甲マンションの滅失がその建物の価格の2分の1以下に相当する部分の滅失である場合において、区分所有者Bが自己の専有部分の復旧の工事に着手するまでに復旧の決議があったときは、Bは、単独で専有部分の復旧をすることはできない。
1 アとイ
2 イとウ
3 ウとエ
4 エとア
解答と解説
正しいものの組合せはどれか。
4つの選択肢のうち2つが正しいということです。1つ決まれば答えは2分の1になります。問題文と選択肢をよーく読んで下さい。問題文の中にヒントがあります。
問題文中、「被災マンション法に基づいて政令の指定を受けた大規模災害」ではない場合とわざわざ書いています。
被災マンション法に基づいて政令の指定を受けた大規模災害の場合は大規模一部滅失の場合でも多数決により建て替えが可能になりました。
それでは選択肢を見てゆきましょう。
ア 甲マンションの全部が滅失した場合には、A、B、C及びDのいずれの者も、他の者に対し、甲マンションの敷地について、分割を請求することができる。
民法第256条:各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。(以下略)
そのまま解釈して ◯
イ 甲マンションの滅失がその建物の価格の2分の1を超える部分に相当する部分の滅失である場合に、復旧に反対した区分所有者Aは、復旧に賛成した区分所有者の全員に対して、Aの建物及び敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができるが、復旧に賛成した区分所有者のいずれか一人に対して請求することもできる。
区分所有法第61条 第7項:第5項の決議があつた場合において、その決議の日から二週間を経過したときは、次項の場合を除き、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条において「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。この場合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から二月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第十四条に定める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。
決議賛成者以外の区分所有者=復旧に反対した区分所有者。
したがって、全部または一部に対して権利を時価で買い取るべきことを請求できる。
これは ◯ です。
ウ 甲マンションの滅失がその建物の価格の2分の1以下に相当する部分の滅失である場合において、共用部分の復旧は常に集会の決議によるものとし、区分所有者単独での共用部分の復旧は認めないとする旨の規約を設定することはできない。
区分所有法第61条第1項:建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第3項、次条第1項又は第70条第1項の決議があつたときは、この限りでない。
「滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。」
と明記されています。
但し書きがありますが、基本前提として共用部のの復旧もできます。よって「共用部分の復旧は常に集会の決議による」は間違いです。
❌ ですね。
エ 甲マンションの滅失がその建物の価格の2分の1以下に相当する部分の滅失である場合において、区分所有者Bが自己の専有部分の復旧の工事に着手するまでに復旧の決議があったときは、Bは、単独で専有部分の復旧をすることはできない。
専有部分の復旧ができないのは困りものですね。
選択肢「ウ」の区分所有法第61条第1項のただし書きに:。ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第3項、次条第1項又は第70条第1項の決議(復旧決議等)があつたときは、この限りでない。
と、共用部分は成約がありますが、専有部分については復旧を妨げません。
よって、これも ❌です。
この問題の答えは 1 です