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配偶者所有権:夫婦の一方がなくなった場合にのこされた配偶者がそれまで暮らしていた家、やマンションの一室になくなるまでもしくは一定期間無償で居住できる権利。

⇨令和2年 4月1日以降に発生した相続から新たに認められた権利です。

手をつなぐ老夫婦のイラスト

早速出題となりました。

マンション管理に大いに影響があります。

しっかり覚えておいてください

令和2年度 第7問

〔問 7〕 甲マンション 101 号室の所有者Aが死亡し、遺産分割協議によって同室は長男Cの単独所有とされた。同室についてはAが遺言でAと同居していた妻Bのために配偶者居住権を設定しており、Aが死亡した後にも、Bは、Cの承諾のもとに、配偶者居住権に基づいて同室の居住を継続している。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

 

 

1 Bは、会議の目的たる事項に利害関係を有していれば、甲マンションの集会に出席して意見を述べることができる。

2 甲マンションの集会で決議された規約のうち、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法に当たらない事項に関する定めについては、Bにはその効力は及ばない。

3 Cは、101 号室に係る固定資産税を、納付期限が迫っていたため自ら納付したが、これについてはBに対して求償することができる。

4 Bが建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為を行っていた場合には、甲マンションの管理組合は、集会の決議によってBの配偶者居住権を消滅させることができる。

 

解答と解説

 

問題をよく読むことが肝心!

マンション= 甲マンション

A    = 所有者。 死亡。

B    = 死亡した所有者Aの配偶者。

C    = 長男。マンションの101号室の相続人。

 

民法と区分所有法から選択肢が適法かそうでないかを判断します。適法なら違法なら

 

 

1 B(= 死亡した所有者Aの配偶者。)は、会議の目的たる事項に利害関係を有していれば、甲マンションの集会に出席して意見を述べることができる

⇛区分所有法44条1項:(占有者の意見陳述権)区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べ    ることができる。

上記のごとく明記されています。

占有者とはその部屋を自由に使用しているもの所有者ではない。賃借人など。

この場合にこの条項が当てはまります。

○ です。

 

 

2 甲マンションの集会で決議された規約のうち、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法に当たらない事項に関する定めについては、B(= 死亡した所有者Aの配偶者。)にはその効力は及ばない。

 

「建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法に当たらない事項」とは具体的になにか?

それは集会の決議や規約に定められた使用方法以外の「管理」に関する事項。管理費などは区分所有者の定めなので、占有者には及びません。(区分所有法46条)

です。

 

 

3 C(= 長男。マンションの101号室の相続人。)は、101 号室に係る固定資産税を、納付期限が迫っていたため自ら納付したが、これについてはB(= 死亡した所有者Aの配偶者。)に対して求償することができる。

固定資産税は所有者が支払うのが当然。よって、相続人のBが負担すべき。 と考えるのが一般ですが、民法にこんな条文がありました。

民法第1034条 居住建物の費用の負担。

1項 配偶者は、居住建物の通常の費用を負担する。

2項 第583条の第2項の規定は、前項の通常の必要以外の費用について準用する。

 

→建物の「通常の費用」は配偶者が負担する。

→「通常の費用」とは固定資産税、修繕費等を指す。

よって

 です。

 

 

4 Bが建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為を行っていた場合には、甲マンションの管理組合は、集会の決議によってBの配偶者居住権を消滅させることができる。

配偶者所有権について、新しい法律ですが、区分所有法の考え方でこの問題の解答は得られます。

区分所有法第60条

(略)、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求することができる。

共同の利益に反する行為を行っていた居住者に対しては要請を持ってしてもやまない場合、裁判所に訴えて居住権を消滅させることができると明記されています。

よって管理組合は裁判所に訴えることができるのであって集会の決議をもって居住権を消滅させられるわけではないのです。

❌ です。

 

この問題の答は  4 です。

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