銀杏の葉が

黄色く色づき、冷たい北風が吹いてその葉を散らします。

「鐘つけば銀杏散るなり建長寺」 夏目漱石。

「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」 正岡子規

 

私の家の近くの通りも道路の左右が銀杏並木になっていて、季節を伝えてくれます。

晩春には濃い緑の葉をつけて、目をやすめてくれ、秋には一面黄色になって心を癒やしてくれます。それは美しいものです。

マンション管理士試験は例年11月末の日曜日が試験日です。

銀杏が黄色くなるとまもなく試験日です。

あなたも頑張って合格してください。

令和 2年度 第  2問

〔問 2〕 甲マンション管理組合Aの組合員であるBが所有する住戸部分をCに賃貸していたところ、当該住戸の道路側の外壁タイルが自然に落下して、通行人Dが負傷した。この場合に関する次の記述のうち、民法(明治 29 年法律第 89 号)及び区分所有法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

 

1 Dは、土地の工作物の設置又は保存の瑕疵(かし)によって損害を被ったとして、その工作物の共用部分の所有者である区分所有者全員に対して、その共有持分の範囲で分割債権として損害賠償請求することになる。

 

2 Cが、共用部分の維持管理に関与できる立場になく、損害の発生を防止するのに必要な注意を払う義務がない場合には、Dは、Cに対して損害賠償請求をすることはできない。

 

3 外壁タイルの落下原因が、大規模修繕工事において外壁タイル工事を実施した工事業者の施工不良にあっても、A及びAを構成する区分所有者全員が、Dに対して損害賠償責任を負うことになる。

 

4 甲マンションの建設当時から、建物としての基本的な安全性を欠いていることが原因である場合には、建物の建築を担った設計士、施工業者、工事監理者は、特段の事情がない限り、Dの損害について、それぞれ連帯して不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになる。

 

ーマンション管理士協会過去問ー

解 答

誤っているものはどれか。 間違い❌を探す。

 

1 D(被害者)は、土地の工作物の設置又は保存の瑕疵(かし)によって損害を被ったとして、その工作物の共用部分の所有者である区分所有者全員に対して、その共有持分の範囲で分割債権として損害賠償請求することになる。

分割債権とは:分割された債権はそれぞれ独立しており、他に影響を及ぼさない。
ということは・・・。区分所有者が10軒あった場合 100万円の債務は(共用持ち分が同じ場合)各10万円づつであり、10軒が別々に10万円づつの債務負担ということになり、債権者Dにとっては取り立てが非常に厄介のことになる。

この件の場合、区分所有者の債務ということで、不可分の連帯債務と考えられます。

民法 第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)第1項:
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者(この問の場合賃借人)は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者(この問の場合区分所有者全員)がその損害を賠償しなければならない。

民法 第719条(共同不法行為者の責任)第1項:
数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。

この選択肢は間違いです。 ❌です。

 

 

 

 

 

 

2 C(賃借人)が、共用部分の維持管理に関与できる立場になく、損害の発生を防止するのに必要な注意を払う義務がない場合には、D(被害者)は、C(賃借人)に対して損害賠償請求をすることはできない。

選択肢1の民法第717条第1項にあるように賃借人ではなく所有者に損害賠償請求をすることになります。

この選択肢は ○です。

 

 

 

 

 

3 外壁タイルの落下原因が、大規模修繕工事において外壁タイル工事を実施した工事業者の施工不良にあっても、A(甲マンション管理組合)及びAを構成する区分所有者全員が、D(被害者)に対して損害賠償責任を負うことになる。

所有者は無過失責任を負います。区分所有者は施工業者に賠償請求することはできます。

です。

 

 

 

 

 

4 甲マンションの建設当時から、建物としての基本的な安全性を欠いていることが原因である場合には、建物の建築を担った設計士、施工業者、工事監理者は、特段の事情がない限り、Dの損害について、それぞれ連帯して不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになる。

建築物の瑕疵が建設当時から、建物としての基本的な安全性を欠いていることが原因であれば、設計士、施工業者、工事監理者は連帯して責任を負わねばならない 。

選択肢1にある民法第719条1項にあるように、連帯してその損害を賠償する責任を負う。

です。

 

 

選択肢1は首をひねりますが、選択肢2、3は間違いなくです。選択肢4も少し考えれば、以前あった「耐震偽造問題」で建築士も施工会社もみんな責任を問われました。当然といえば当然ですね。

 

この問題の答えは 1  です。

 

 

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