燕雀安知鴻鵠之志哉燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや・えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや)

有名な「史記」に出てくる言葉です。

陳渉は後に秦に対抗する勢力の指導者になり王の称号まで受ける人物。秦を滅ぼす原動力となった。この後、あの有名な項羽や劉邦が出てくる。

しかし、若い頃は地主の田畑の雇われ耕作作業をしていたのである。

ある日、丘に登って周囲を睥睨して、今の自分を嘆いていた時雇い主がその姿を見て声をかけてきた。その時陳渉は「私はいつか大きな事を成す」といった。

雇い主は笑って「雇われ労働者のお前などに何ができようか」といった。

そのときに陳渉が言い放ったのが「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」と言う言葉です。

燕雀とはツバメや雀、いわゆる、小鳥です。鴻鵠とは大きな鳥白鳥やおおとりを言い、体も大きく、渡りをして世界中を知っている鳥のこと。人里の小さな空間を飛び回る小鳥たちに世界を飛び回るおおとりの志などわかるはずはない。と言い切ったのである。

この故事の場合後日確かに大物になったからいいようなものの、ものにならなかったら、ただの強がり、負け惜しみ、言い訳、捨て台詞になってしまう。

そうならないように、さあ、マンション管理士に合格して実力を示しましょう!


 

令和 1年度 第 4問

〔問 4〕 Aは、Bの所有する専有部分について、Bから賃借し、敷金を差し入れた上で、引渡しを受けてその使用を始めたが、Bが敷地利用権を有していなかったことから、専有部分の収去を請求する権利を有するCが、Bに区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求する通知(この問いにおいて「本件通知」という。)を行った。この場合における次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

 

1 本件通知の後に、AがCの承諾を得てDに対して賃借権を譲渡したときには、敷金に関するAの権利義務関係はDに承継される。

 

2 本件通知前にAがBに対して賃料を支払っていなかった場合、BのAに対する未払いの賃料債権は、債権譲渡がなされなければ、BからCに移転しない。

 

3 賃貸人の地位がBからCに移転したとしても、Cは、所有権の移転登記を経なければ、Aに対して、賃料請求をすることはできない。

 

4 本件通知がBに到達することによって、Bの承諾がなくても、BとCの間に専有部分及び共用部分の持分を売買対象とした売買契約成立の効果が生じることとなる。

 

ーマンション管理協会 過去問よりー

解答

誤っているものはどれか。   を探す問題です。

まず、問題文が非常に難しいですね。正確に問題を理解してから選択肢を読まないと頭が混乱しちゃいます。

 

 

A(賃借人)は、B(専有部所有者)の所有する専有部分について、B(専有部所有者)から賃借し、敷金を差し入れた上で、引渡しを受けてその使用を始めた。

が、

B(専有部所有者)が敷地利用権を有していなかった。

ことから、

専有部分の収去を請求する権利を有するCB(専有部所有者)区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求する通知(この問いにおいて「本件通知」という。)を行った。

この場合における次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

 

という問題です。

 

 

区分所有法第10条(区分所有権売渡請求権):
敷地利用権を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。

 

収去とは:取り除く、壊して撤去するというような意味です。専有部分の収去と言う場合には、1区画の専有部分を取り壊して撤去することはできませんので、売り渡すとか退去を意味します。
多くの場合、地主や複数室の所有者などがこの権利を有する者に当たります。

 

一般的にマンションは

区分所有法 第22条(分離処分の禁止):
1、敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2、前項本文の場合において、区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は、第十四条第一項から第三項までに定める割合による。ただし、規約でこの割合と異なる割合が定められているときは、その割合による。
3、前二項の規定は、建物の専有部分の全部を所有する者の敷地利用権が単独で有する所有権その他の権利である場合に準用する。

 

区分所有権と敷地利用権は分離して処分することはできないので、もれなくついてくるのが一般なのですが、ここでも例外規定が認められており規約で別段の定めができるのです。この場合に此のようなトラブルが発生します。

 

上記のことを踏まえて、選択肢を見てゆきましょう。

 

 

1 本件通知に、A(賃借人)C(専有部分の収去を請求する権利を有するの承諾を得てD賃借権の譲受人)に対して賃借権を譲渡したときには、敷金に関するA(賃借人)の権利義務関係はD賃借権の譲受人)に承継される。

これは、民法の規定で、転貸には賃貸人Bの承諾が必要であり、Cの承諾では足りない。敷金の規定も2020年の改正でかなり詳しくなっていますので調べておいてください。

よって    です。

 

 

 

2 本件通知前にA(賃借人)B(専有部所有者)に対して賃料を支払っていなかった場合、B(専有部所有者)A(賃借人)に対する未払いの賃料債権は、債権譲渡がなされなければ、B(専有部所有者)からC(専有部分の収去を請求する権利を有するに移転しない。

債権譲渡されていなければ、移転しません。   そのまま です。

 

 

 

3 賃貸人の地位がB(専有部所有者)からC(専有部分の収去を請求する権利を有するに移転したとしても、C(専有部分の収去を請求する権利を有するは、所有権の移転登記を経なければ、A(賃借人)に対して、賃料請求をすることはできない。

これも 選択肢 2と同様、所有権移転の登記を経なければ賃料請求をすることはできない。   そのまま です。

 

 

 

4 本件通知B(専有部所有者)に到達することによって、B(専有部所有者)の承諾がなくても、B(専有部所有者)C(専有部分の収去を請求する権利を有するの間に専有部分及び共用部分の持分を売買対象とした売買契約成立の効果が生じることとなる。

本件通知がなんであったか覚えていますか?

Bに区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求する通知のことですね。

区分所有法第10条(区分所有権売渡請求権):
敷地利用権を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。

これは形成権と言って一方的に請求できる権利です。

つうちは重要です。  そのまま です。

 

問題自体は難しくなかったけれど、問題文が難しかったですね。

この問題の答えは  1  です。

 

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