いざ鎌倉の故事をご存知でしょうか。

鎌倉というから源氏三代から北条執権政治の時代ですね。一旦鎌倉に有事あれば何を差し置いても鎌倉に馳せ参じるという武士の心意気の話です。

鎌倉時代、中期 執権の北条時頼が出家して身分を隠して地方の旅をしていたときに、上野国(今の群馬県)で貧乏武士の家に宿を得た。その屋の主は桜、梅、松の盆栽を囲炉裏にくべて寒さをしのがせてくれたが、見るからに落ちぶれた様子。話を聞けば、かつては近隣13郷を領する佐野源左衛門と名乗り、今はその土地は他の者に横領されて、いまはその日暮らしの自給自足生活だという。

それにしても、見事な盆栽を火にくべて、室内の馬小屋には筋肉のしっかりついた馬がいた。

「見事な馬ですな、売れば随分高価に売れましょう」と聞くと

「いざ、鎌倉のときに馳せ参じるのに馬が痩せておっては遅れを取りまする」ということであった。

あるとき鎌倉に一大事があり多くの地方武士に招集がかかった。そのときにいち早く集まった武士の中に佐野源左衛門が居るのを北条時頼が発見。佐野源左衛門もあのときの僧が北条時頼であったと知ってお互いに驚き、北条時頼は恩賞として佐野の庄13郷を源左衛門に与え、更に地方の桜の里、梅の里、松の里を領地として与えたと言う話です。

そんな話が 謡曲「鉢の木」になっています。

地味な努力がいつか実を結ぶこともあります。今を嘆かず未来志向で日々頑張りましょう。




 

令和 1年度 第 17問

〔問 17〕 甲マンションの201 号室の区分所有者Aが死亡し、その配偶者Bと未成年の子Cが同室の所有権を相続し、BとCが各2分の1の共有持分を有し、その旨の登記がなされている場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

 

1 Bが金融機関から自己を債務者として融資を受けるに当たり、201 号室の区分所有権全部について抵当権を設定しようとする場合に、Cの持分に係る抵当権の設定については、BはCのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

 

2 Bが、Cに区分所有権全部を所有させるため、自己の持分を無償で譲渡する場合でも、BはCのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

 

3 201 号室の区分所有権全部を第三者に売却する場合、Cの持分の売却について、BはCのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

 

4 201 号室に係る固定資産税等の公租公課について、未成年者であるCが支払うに当たって、BはCのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

 

ーマンション管理士協会過去問ー

解答

正しいものはどれか。  ○ を探す問題です。

問題は 父親Aが亡くなり、母親と未成年の子供が相続人になったマンションの201号室の問題です。

 

1 B(母親)が金融機関から自己を債務者として融資を受けるに当たり、201 号室の区分所有権全部について抵当権を設定しようとする場合に、C(未成年の子供)の持分に係る抵当権の設定については、B(母親)はC(未成年の子供)のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

親権者と未成年の子供の利益相反関係にある財産を守るには?

民法第826条(利益相反行為)
1、親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2、親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

未成年の子供の財産を守るためには特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。   ○ です。

 

 

 

2 B(母親)が、C(未成年の子供)に区分所有権全部を所有させるため、自己の持分を無償で譲渡する場合でも、B(母親)はC(未成年の子供)のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

B(母親)(成年)が自分の子供C(未成年の子供)に利益を譲渡するのに特別代理人の選任は不要。利益相反行為は未成年の子供を保護する規定。よって、 。

 

 

 

3 201 号室の区分所有権全部を第三者に売却する場合、Cの持分の売却について、BはCのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

選択肢の1,2の場合、利益相反が発生します。1の場合は母親が利益を受け子が不利益を受けます。2はその反対です。

この選択肢の場合、201号室を売却する行為は母親にとっても子にとってもどちらも同じ状況です。建物が金銭に変わるだけです。ですから利益相反行為には当たらず、特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求する必要はありません。    ですね。

 

 

 

4 201 号室に係る固定資産税等の公租公課について、未成年者であるCが支払うに当たって、BはCのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

公租公課の支払いは、B,Cにとって利益が相反する者ではありません。

特別代理人選任の理由は未成年者の利益を守ることです。    。

 

この問題の答えは  1  です。

 

おすすめの記事