公訴時効。

推理小説やサスペンスドラマで、よく時効ということが取り上げられています。

15年逃げ切れば、罪はなくなると言って犯人が巧みに逃げ切ろうとするのを、執念の老刑事が追い詰める手に汗握る描写がドキドキさせますね。

実際に福田和子という強盗殺人犯が1982年8月に犯行をおかし、1997年、15年の時効目前の犯行から14年11ヶ月10日目に逮捕されたと言う事件がありました。逃走中にふてぶてしい通話の声などが公表されて皆を驚かせたものです。

また、ニュースの特集で殺人事件容疑者で15年の時効が成立している人にインタビューしているモザイクだらけの映像を観たことがありますがなんだかとても惨めな感じでした。

2010年この時効が撤廃もしくは延長されました。

時代やニーズに合わせて法律も変わってゆきますね。憲法も見直しが必要な頃かもしれませんね。

今回の問題は この 法改正が絡んでいます。




令和 1年度 第 16問

〔問 16〕 甲マンションの305 号室を所有するAは、同室のキッチンの設備が老朽化したことから、業者Bとの間で、その設備を報酬100 万円でリニューアルする旨の請負契約を締結した。この場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 

1 AB間での請負契約に係る別段の特約のない限り、Aは、Bがリニューアルの工事に着手するのと同時に、報酬100万円をBに支払わなければならない。

 

2 Bは、リニューアルの工事を完成させるまでの間であれば、いつでもAに生じた損害を賠償して請負契約を解除することができる。

 

3 Bがリニューアルの工事を完成させるまでの間にAが破産手続開始の決定を受けた場合であっても、Bは、請負契約を解除することができない。

 

4 Bはリニューアルの工事を完成させたがその工事の目的物に瑕か疵しがあったときに、この瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、AはBに対し修補を請求することができない。

 

ーマンション管理士協会過去問ー

解答

1 AB間での請負契約に係る別段の特約のない限り、(注文者)Aは、(請負業者)Bがリニューアルの工事に着手するのと同時に、報酬100万円を(請負業者)Bに支払わなければならない。

民法第633条(報酬の支払時期)
1、報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第624条第1項の規定を準用する。

よって、着手時に支払う必要はない。  ✖ 

 

 

 

2 (請負業者)Bは、リニューアルの工事を完成させるまでの間であれば、いつでも(注文者)Aに生じた損害を賠償して請負契約を解除することができる。

民法第641条(注文者による契約の解除)
1、請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

 

とあるので、契約解除できるのは注文者であり、請負業者ではない。

(請負業者)Bは、損害を賠償して請負契約を解除することができる。 は間違い ✖  です。

 

 

 

3 Bがリニューアルの工事を完成させるまでの間にAが破産手続開始の決定を受けた場合であっても、Bは、請負契約を解除することができない。

民法第642条(注文者についての破産手続の開始による解除):
1、注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。この場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる。
2、前項の場合には、契約の解除によって生じた損害の賠償は、破産管財人が契約の解除をした場合における請負人に限り、請求することができる。この場合において、請負人は、その損害賠償について、破産財団の配当に加入する。

 

条文通り、「注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。」

選択肢の(請負業者)Bは、請負契約を解除することができない。は誤り  ✖  です。

 

 

4 (請負業者)Bはリニューアルの工事を完成させたがその工事の目的物に瑕疵(かし)があったときに、この瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、(注文者)Aは(請負業者)Bに対し修補を請求することができない。

 

民法第634条(請負人の担保責任)
1、仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。
2、注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第533条の規定を準用する。

「瑕疵が重要でない場合において、その補修に過分の費用を要するときは、此の限りではない。」この規定により、重要でない歌詞の場合多額の費用を要するときは補修請求できない。

よって、此の選択肢が    です。

選択肢 1、2、3は完全にです。

 

※注意 この問題は令和 1年(2019)の試験問題です。

2020年4月に民法の改正がありここに記載した「民法第634条」は削除されました。よって、この年の問題としては選択肢4が ですが、2020年4月以降においては選択肢4は です。(このような規定はなくなりました)

 

令和1年度の試験の答えとしては  4  が正解です。

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