保証人と連帯保証人の違い。

誰かの保証人を頼まれたり、自分が誰かに保証人になってほしいと頼んだりしたことのある方は多いと思います。家族や親戚、友人などに頼む場合が多いですがその時気をつけてもらわねばならないのは。

保証人と連帯保証人の違いです。

債務者が債務を履行しなかったときに保証人がその債務を履行します。

保証人は債権者から債務履行の督促を受けた場合「まずは主たる債務者に請求してください」と反論できます。(催告の抗弁権)また、主たる債務者に財産があった場合「財産を差し押さえしてください」と言えます。(検索の抗弁権)

しかし、連帯保証人にはこれらの権利はありません。だから、債権者の請求に対抗することはできず、支払う義務があります。

とても重い責任があるのです。

更に、保証人が数人いた場合には保証人の頭数で債務を割って支払うことができます(分別の利益)が、連帯保証人はそれがありません。連帯保証人が複数いても債権者はその中の一人に全額請求することもできます。

賃貸で部屋を借りる人の保証人、連帯保証人になるのは考えものですね。

そのへんを踏まえて今回の問題です。




 

令和 1年度 第 14問

〔問 14〕 Aがその所有する甲マンションの301 号室をBに対して期間を3年と定めて賃貸し、CがBのためにAとの間で保証契約を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

 

1 AとBとの間で賃貸借契約が合意更新された場合、Cは更新後も保証を継続する旨の意思表示をしない限り更新後の賃料債務については保証債務を負わない。

 

2 Bの賃料不払により賃貸借契約が解除された場合、Cは未納賃料のみならず、Bが301 号室を契約に基づき返還すべきところ返還しないことによってAが被った損害の賠償債務についても保証債務を負う。

 

3 CがBと連帯して保証する旨の特約があり、Bの賃料不払によりAがCに対して保証債務の履行を請求した場合、CはAに対し、まずBに対して履行の催告をするように請求することができる。

 

4 Bの賃料債務が時効により消滅した場合であっても、Cが保証債務の存在を承認したときには、Cは保証債務を免れない。

 

ーマンション管理士協会過去問ー

解答

正しいものはどれか。   を見つける問題。

 

1 A(賃貸人)とB(賃借人)との間で賃貸借契約が合意更新された場合、C(保証人)は更新後も保証を継続する旨の意思表示をしない限り更新後の賃料債務については保証債務を負わない。

「保証債務を負わない。」というのだから、契約時定めた期間をすぎれば、「改めて保証人になります。」という意思表示をしなければ、その期間内で保証債務は終了するということ。

一見、当然のようです。

この保証契約はA(賃貸人)とC(保証人)との間でかわされた保証契約です。

A-B間で契約が更新された場合、A-C間の保証契約はどうなるのかと言う問題ですね。

そこで、

平成9年11月13日の最高裁判決:
期間の定めのある建物賃貸借契約の更新と保証人の責任:期間の定めのある建物賃貸借において、賃借人のために保証人が賃貸人と保証契約を締結した場合には、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情がない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責を負う趣旨で合意がされたものと解すべきである。

上記最高裁判決があった。

「反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情」がない限り更新と同時に保証債務も更新されるということになりました。

黙っていれば自動更新「いやだ、やめた」という事情を説明して相手に伝えればやめることができるようです。「保証を継続する旨の意思表示をしない」場合は何も言わないわけだから、保証債務を負う。ことになります。   よって 誤り ✖ です。

 

 

 

 

2 B(賃借人)の賃料不払により賃貸借契約が解除された場合、C(保証人)は未納賃料のみならず、B(賃借人)が301 号室を契約に基づき返還すべきところ返還しないことによってA(賃貸人)が被った損害の賠償債務についても保証債務を負う。

民法第447条(保証債務の範囲):
1、保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
2、保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。

第1項に債務に従たるすべての物を包含する。と書いてあります。

です。

 

 

 

 

3 C(保証人)がB(賃借人)連帯して保証する旨の特約があり、B(賃借人)の賃料不払によりA(賃貸人)がC(保証人)に対して保証債務の履行を請求した場合、C(保証人)はA(賃貸人)に対し、まずB(賃借人)に対して履行の催告をするように請求することができる。

 

民法第454条(連帯保証の場合の特則):
保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。

前二条とは

民法452条(催告の抗弁):
債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。

民法453条(検索の抗弁):
債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない

普通の保証人ならば民法452条及び民法453条により、先に主たる債務者(この場合B(賃借人))に対して請求してくださいと言えるのですが、連帯保証人の場合はそれができないのです。

違いを覚えておいてください。  この選択肢は ✖ です。

 

 

 

 

4 B(賃借人)の賃料債務が時効により消滅した場合であっても、C(保証人)が保証債務の存在を承認したときには、C(保証人)は保証債務を免れない。

民法第457条(主たる債務者について生じた事由の効力):
1、主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の中断は、保証人に対しても、その効力を生ずる。
2、保証人は、主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗することができる。

時効の中断は、保証人に対しても、その効力を生ずる  から、保証債務も時効により消滅する。      。

 

この問題の答えは 2  です。

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