新しい 元号 令和の最初の試験です。

はじめ良ければ終わりよし。と言います。まあ一問目は正解でスタートしたいものですね。

「花鏡」という書物をご存知ですか?能を体系化し、芸術にまで昇華させた世阿弥の残した能の理論書です。ここに「初心忘れるべからず」と書いてあります。

事を始めた場合に最初に志ざした思いを忘れてはならない。と言う意味に取ることが多いと思いますが、原書にあたった人はそればかりでないことがわかっています。世阿弥の言うのは「人生の中にはいくつもの初心があると言っています。若い時の初心、人生の折々の初心、そして老いてからの初心。長い人生にはいくつもの初心があるのだ。その折々の初心を忘れてはならない」と言いているんです。

世阿弥
世阿弥

含蓄がありますね。

蛇足ですが「風姿花伝」は世阿弥の著書ですが、「花伝書」は風姿花伝とは別の書物なのだそうです。混同している方が多いようですね。

マンション管理士になろうという思いを抱いた「初心忘れず」がんばってください。



令和 1年度 第 1問

〔問 1〕 規約に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、その効力が認められないものの組合せはどれか。

 

ア 構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分を専有部分とする規約の定め

 

イ 区分所有権の目的とすることができる建物の部分及び附属の建物を共用部分とする規約の定め

 

ウ 管理組合法人における理事の任期を3年とする規約の定め

 

エ 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者の4分の3以上の多数で、かつ議決権の3分の2以上の多数による集会の決議で決するとする規約の定め

1 アとイ

2 イとウ

3 ウとエ

4 エとア

ーマンション管理協会 過去問よりー

解答

認められないものの組合せ選択肢は どれとどれか?   を探しましょう。

先ずアから検証。

 

ア 構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分を専有部分とする規約の定め

構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分とは、どの部分を指すのかわからなければ、問題が曖昧模糊としてしまい、頭の中がぼんやりなってしまいます。さあ、スッキリさせましょう。

共用部分は
法定共用部と規約共用部に大別されます。

区分所有法第4条(共用部分)
1、数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。
2、第1条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(区分所有法 第1条(建物の区分所有):一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。

区分所有法第4条の1は法定共用部、2は規約共用部について書いてあります。

1の法定共用部は法文内に例示されている、数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室など、であり法律上当然居住者の共用になる部分のこと。廊下や階段室、エレベーターなどを思い浮かべてください。

2の規約共用部はある部屋を集会室にするなどの行為です101号室を集会室として共用部分とすると言う定めをすれば101号室は規約共用部ということになります。

ア の選択肢は構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分を専有部分とする規約の定め。  は区分所有法の規定によれば、その効力が認められないものであります。 よって、   です。

 

 

 

次は イ を検証しましょう。

イ 区分所有権の目的とすることができる建物の部分及び附属の建物を共用部分とする規約の定め

選択肢 ア で説明しました。

区分所有法 第4条の第二項:2、第1条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

第1条(建物の区分所有)一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。

所有権の目的となる部分であっても規約により共用部とすることができる。(登記が必要)。   これは正解 ◯  ですね。ということは、この問題にはそぐわないので、イ が入っている選択肢は 正解にはなりません。

 

 

ウの検証

ウ 管理組合法人における理事の任期を3年とする規約の定め

区分所有法第49条(理事)第8項:理事の任期は、二年とする。ただし、規約で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。

と言う規定があります。

全く問題なく    です。

 

 

エの検証

エ 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者の4分の3以上の多数で、かつ議決権の3分の2以上の多数による集会の決議で決するとする規約の定め

区分所有法第17条(共用部分の変更):
1、共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
2,前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。

この17条では、区分所有者の定数は、規約で過半数まで減ずることができる。とだけ書いています。議決権まではできません。よって ✖  です。

 

蛇足ですが参考に以下を読んでください。

(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)とは著しい変更(重大変更)をするものということですね。「著しい変更を伴わないもの(軽微な変更)」は普通決議で決定できます。

著しい変更(重大変更)は特別決議が必要ですから、特別決議になります。

普通決議とは:普通決議は「総会(集会)の会議は議決権の半数以上の出席で,出席者の過半数で決する。」と定められています。

特別決議とは:区分所有者の4分3以上の出席が必要であり、さらに議決権の4分の3以上の賛成が必要になります。
建替えの決議は5分の4以上の賛成が必要とずっと厳しくなっています。
1、管理規約の設定・変更・廃止(区分所有法第31条)
2、管理組合法人の成立(同法第47条)
3、共用部分等の変更(同法第17条・第21条)
4、大規模滅失における建物の復旧(同法第61条第5項)
5、建物の建替え(同法第62条)
6、専有部分の使用禁止の請求(同法第58条)
7、区分所有権の競売の請求(同法第59条)
8、占有者に対する引渡し請求(同法第60条)

アとエが間違っていたので、この問題の答えは・・・・・4 ということになります。

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