イントロダクション

どうもマンション管理士の出題は曖昧な部分が多くメリハリがないように感じます。

え! メリハリって?

メリハリ

 ゆるむことと張ること。特に、音声の抑揚や、演劇などで、せりふ回しの強弱・伸縮をいう。「―のきいたせりふ」

 物事の強弱などをはっきりさせること。「―をつけて仕事をする」
[コトバンク]参照。

メリハリとはもとは邦楽で使う言葉で低音を「減り(めり)」高音を「上り(かり)甲り(かり)」と言います。「めりかり」が転じて「メリハリ」となり広く使われるようになったとのこと。

蛇足ですが「メルカリ」(フリマアプリの会社)は全く語源が違います。こちらは「mercari]ラテン語で商売のことです。マーケットも同語源。

 

それでは28問目 勉強しましょう。

28問目です。

【問 28】
規約で小鳥・観賞用魚類以外の動物の飼育を禁止しているマンションにおいて、区分所有者Aから専有部分を賃借しているBが、室内で体長65cmの雑種犬2引きを飼育し、敷地内で犬を散歩させて通行人に吠えかかって恐怖感を与えたり、抜け毛や悪臭を発生させたりする等居住者に多大な迷惑をかけている。この場合において、管理組合として取り得る措置に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。

 

1、理事長は、理事会の決議を経れば、規約に違反しているとして、Bに対し、犬の飼育を止めるよう勧告することも、犬の飼育の差し止めを裁判所に請求することもできる。

 

2,理事長は、Bの犬の飼育行為が再三の注意勧告にもかかわらず止まないため、区分所有者の共同の利益に反する行為に当たるとして、総会の決議に基づき、その差し止めを裁判所に請求することができる。

 

3、理事長は、Aに対し、規約を遵守して犬の飼育を止めるようBに働きかけをするよう要請したが、これにAが従わない場合にはA自身の規約違反行為の責任を追求することができる。

 

4、管理組合は、Bの犬の飼育状況を確認するため、Bに対し専有部分内への立ち入りを請求することができ、Bは、正当な理由がない限りこれを拒否することができない。

 

ーマンション管理センター 過去問よりー

解答

ペット飼育は騒音問題に次ぐ困りごとですね。不適切なものを探す。

問題には65センチの雑種犬と書かれていますがこれは考えなくても良い。なぜなら、小鳥・鑑賞用魚類以外の動物の飼育を禁止なのだから。

 

 

1 理事長は、理事会の決議を経れば、規約に違反しているとして、Bに対し、犬の飼育を止めるよう勧告することも、犬の飼育の差止めを裁判所に請求することもできる。

マンション標準管理規約 第 67条 (理事長の勧告及び指示等) 左記条項をクリックして内容確認してください。

1項より:理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。

賃借人が規約違反をした場合、理事長は理事会の決議を受けた上で、行為差し止め原状回復などの請求をすることができる。必要なら訴えることもできる。

 

2 理事長は、Bの犬の飼育行為が再三の注意勧告にもかかわらず止まないため、区分所有者の共同の利益に反する行為に当たるとして、総会の決議に基づき、その差止めを裁判所に請求することができる。
区分所有法 第 57条 (共同の利益に反する行為の停止等の請求) 左記条項をクリックして内容確認してください。
区分所有法 第 57条 第 3項より:管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第 1項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。(総会の決議に基づき、裁判所に訴えることができる。)よって

 

3 理事長は、Aに対し、規約を遵守して犬の飼育を止めるようBに働きかけをするよう要請したが、これにAが従わない場合にはA自身の規約違反行為の責任を追及することができる。

選択肢 1 にある マンション標準管理規約第67条2項を確認してください。
マンション標準管理規約第67条2項:区分所有者は、その同居人又はその所有する専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人が前項の行為を行った場合には、その是正等のため必要な措置を講じなければならない。
所有者Aは賃借人Bに規約違反しないよう勧告せねばならない。
4 管理組合は、Bの犬の飼育状況を確認するため、Bに対し専有部分内への立入りを請求することができ、Bは、正当な理由がない限りこれを拒否することができない。
マンション標準管理規約 第 23条 (必要箇所への立ち入り) 左記条項をクリックして内容確認してください。
室内立ち入りについて、標準管理規約23条をみると、立ち入り請求ができ、立入りを請求された者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。と書いてあります。よって

問題発生!!

困ったことにすべて。不適切を探すとしたら細かい部分を見てゆかねばなりません。
そこで犬の体型が65センチ、雑種、2頭。というのがなにかあるのかと推測。しかし、問題を読み返しても、冒頭に「規約で小鳥・鑑賞用魚類以外の動物の飼育を禁止しているマンション」と条件があり小型犬1匹でも規約違反であり、マルチーズが吠えたり噛んだりしたって同じこと。
選択肢2,3は間違いなく。選択肢1の「理事会の決議」あたりがあやしいと、標準管理規約を読んでみても、67条1項に「理事会の決議を経て」と明記されている。
いよいよ首をひねる。選択肢4はどうか?標準管理規約23条の第1項「前2条により」を見てみましょう。前2条ということで、第21条及び22条を読んでみると、共用部や敷地。窓ガラス、バルコニーなどの管理のことが書いてあるが、居住者のペット飼育や生活態度についての記載がない。
マンション標準管理規約 第 21条 (敷地及び共用部分等の管理) 左記条項をクリックして内容確認してください。
第 1項:「敷地及び共用部分等の管理については・・・」
と書いてあります。
マンション標準管理規約 第 22条 (窓ガラス等の改良)左記条項をクリックして内容確認してください。
第 1項:「各住戸に付属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事」
と書いてあります。
確かに 前2条 (第 21条、第 22条)にはペットの飼育については触れられていません。区分所有法の規定及び標準管理規約にはペット飼育について立ち入り検査できるとは明記されていません。
犬の飼育状況の確認がそのまま「敷地及び共用部分等の管理」とは言えない。と解釈して、
答えは 4 です。

 

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