修繕積立金について

分譲マンションを購入した場合、専有部・共用部(区分所有権)と敷地利用権を購入したということになります。躯体壁の内側の専有部は勿論のこと、廊下や階段、屋上やエントランス、給水設備や排水設備、エレベーター・機械式駐車場・・・などにも権利を持っていることになります。権利には義務がつきものです。権利を執行するには義務を果たさなければなりませんね。

自動ドアが壊れたり、機械式駐車場が動かなくなったり、20年、30年経って壁や外装タイルが劣化してきたり、屋上の防水が壊れて水漏れしてきたりしたら修繕が必要になります。築40年をすぎると修繕するより建替がより良い選択になってきたりします。修繕や建替は莫大なお金がかかりますね。

そのために住人全員で毎月、もしくは毎年、又は購入時にまとめて修繕積立金を積み立てておくのです。それを銀行に預けたり、証券にして運用して運用益を出したりしながら来たるべき日に備えるのです。

平成30年度 第25問

〔問 25〕 住居専用の単棟型マンションの管理組合における管理費等の取扱いに関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。

 

1 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査費用については管理費から支出することとされているが、各マンションの実態に応じて、修繕積立金から支出する旨を規約に定めることもできる。

 

2 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕及び不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕については修繕積立金を充当し、敷地及び共用部分等の変更については管理費を充当する。

 

3 駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料は、管理組合の通常の管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる。

 

4 管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとし、使用頻度等は勘案しない。

 

ーマンション管理協会 過去問よりー

解答

適切なものはどれか。  を探す。

標準管理規約からの問題です。

マンション標準管理規約には単棟型と複合型の2種類があります。

標準管理規約の問題は毎年たくさん出題されます。標準管理規約を熟知することが、管理業務主任者及びマンション管理士にとって最も重要です。通読、熟読お願いします。

 

1 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査費用については管理費から支出することとされているが、各マンションの実態に応じて、修繕積立金から支出する旨を規約に定めることもできる。

標準管理規約(単棟型)第28条(修繕積立金)左記青字をクリックして全文しっかり読んでください。
1項の四:
第1項:管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
四:建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査。

すでに前提から間違っていますね。

建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査費用は修繕積立金を使用する。また、マンションの事情により管理費から取り崩すこともできる。が正解。  この選択肢は  。

 

 

2 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕及び不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕については修繕積立金を充当し、敷地及び共用部分等の変更については管理費を充当する。

選択肢1の標準管理規約(単棟型)28条の第28条第1項の一、二、三にそのまま書いてあります。

第28条:管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
一  一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
二  不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
三  敷地及び共用部分等の変更

2の選択肢に書いてあるすべて修繕積立金を充当する。敷地及び共用部分等の変更については管理費を充当する。は間違い。  ✖ 

 

 

3 駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料は、管理組合の通常の管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる。

マンション標準管理規約第29条(使用料):
駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料(以下「使用料」という。)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる。

基本部分で違っています。駐車場使用料は機械式駐車場など故障やメンテナンスが必要なものの支出に充てます。余剰金があれば修繕積立金に積み立てる。

この選択肢も ✖ ですね。

 

 

4 管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとし、使用頻度等は勘案しない。

この問題はよく出題されています。でも現実問題では軋轢のある問題なのです。

「あたしは、1階の住人だからエレベーターの使用は少ないのだから、エレベーターに係る支出はなくしてほしい」なんて言う方もいるそうですよ。

マンション標準管理規約(単棟型)第25条(管理費等):

  1. 区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の費用(以下「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。
    ①、管理費
    ②、修繕積立金
  2. 管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。

第25条 コメント:
① 管理費等の負担割合を定めるに当たっては、使用頻度等は勘案しない
② 管理費のうち、管理組合の運営に要する費用については、組合費として管理費とは分離して徴収することもできる。

コメントに明確に記載されていました。   ◯  です。

この問題の答えは  4  です。

 

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