オレオレ詐欺という呼び方はもう古いかもしれません。今は「振り込め詐欺」と呼んでいます。その他「架空請求詐欺」「還付金等詐欺」「キャッシュカード詐欺」などがあります。主に被害者は高齢者です。平成30年、表に現れている件数は17,844件。被害総額383億円にのぼるそうです。許せない話ですね。

年々巧妙にあくどくなっているようですからみなさんも気をつけてくださいね。

平成30年度 第16問

〔問 16〕 甲マンションの301 号室を所有するAが、長期間入院することとなり、その間の同室の日常的管理を302 号室のBに委託した。この委託が準委任に当たるとされる場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 

1 Bが報酬の特約をして管理を受託したときは、Bは301 号室を自己のためにすると同一の注意をもって管理すれば足りる。

 

2 Bが報酬の特約をして管理を受託したときは、委託事務を処理するための費用の前払を請求することはできない。

 

3 Bは、Aに不利な時期であってもAB間の委託契約を解除することができ、やむを得ない事由があればAに損害が生じたときでもAの損害を賠償する義務は生じない。

 

4 Aが後見開始の審判を受けたときは、AB 間の委託契約は終了する。

 

ーマンション管理協会 過去問よりー

解答

正しいものはどれか。 は一つだけです。しっかり問題文を読んで探しましょう。

業務を他者へ依頼する場合、「委任契約」「請負契約」「派遣契約」など、さまざまな契約形態がありますが、「準委任契約」もその一つです。

委任契約は無報酬で委任された行為をする。準委任は無報酬で委任された行為のうち、法律行為以外を行う。報酬が発生する場合は契約に明記する必要があります。請負契約は報酬を得て、仕事を完成させる契約です。

 

1 Bが報酬の特約をして管理を受託したときは、Bは301 号室を自己のためにすると同一の注意をもって管理すれば足りる。

民法644条(受任者の注意義務):受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

自己のためにすると同一の注意では足りません。善良な管理者の注意を持って、委任事務を処理しなければなりません。所謂 「善管注意義務」です。

よって  ✖  

 

 

2 Bが報酬の特約をして管理を受託したときは、委託事務を処理するための費用の前払を請求することはできない。

民法第649条(受任者による費用等の償還請求等):
委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。

報酬特約の有無に関わらず費用がかかるときは前払いを請求できます。  よって  ✖  

 

 

3 Bは、Aに不利な時期であってもAB間の委託契約を解除することができ、やむを得ない事由があればAに損害が生じたときでもAの損害を賠償する義務は生じない。

民法第651条(委任の解除)
1、委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2、当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

民法651条のままです。  ◯ 

 

4 Aが後見開始の審判を受けたときは、AB 間の委託契約は終了する。

民法653条(委任の終了事由)
委任は、次に掲げる事由によって終了する。
1、委任者又は受任者の死亡。
2、委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
3、受任者が後見開始の審判を受けたこと。

受任者が後見開始の審判を受けたことは委託契約終了の理由となるが、委任者の後見開始は理由とならない。   よって  。

 

この問題の答えは  3 です。

 

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