古今亭志ん朝と言う天才落語家がいました。
残念なことに、2001年 63歳と言う噺盛の年に亡くなってしまいました。名人上手と言う人が何人もいますが、古今亭志ん朝ほどわかりやすく明確に古典を語れる噺家はいないだろうと思います。

古今亭志ん朝は枕も面白いし、噺は正統派ときている。
立川談志も素晴らしいが、本題に入らないうちに時間が来ちゃったりして彼の本当のうまさを晩年は聞くことができなくなってしまった。

ときには落語を聞きながら美味しいお酒を飲んでみたいですね。

平成30年度 第14問

〔問 14〕 Aがその所有する甲マンションの101号室を、賃料を月額10 万円としてBに賃貸し、これを使用中のBが、Aに対し、5月分の賃料10万円の支払を怠った場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、AB 間に相殺禁止の特約はないものとし、遅延利息については考慮しないものとする。

 

1 Bは101号室の敷金として20万円をAに差し入れているが、Bは、Aに対し、当該敷金返還請求権20万円のうち10万円と5月分の賃料10 万円とを相殺することはできない。

 

2 Bが101号室の故障したガス給湯設備の修繕費用として適切である10 万円を支出し、AB間に費用負担の特約がないときは、Bは、Aに対し、当該費用の償還請求権10 万円と5月分の賃料10 万円とを相殺することができる。

 

3 BがAに対し弁済期が到来した50 万円の貸金債権を有しているとき、Bは、Aに対し、当該貸金債権と101号室の5月分の賃料10 万円及びいまだ支払期限の到来していない6月から9月までの賃料40 万円とを相殺することができる。

 

4 AがBに対して不法行為を行った結果、BがAに対する損害賠償債権30万円を有しているとき、Bは、Aに対し、損害賠償債権30万円のうち10 万円と101号室の5月分の賃料10 万円とを相殺することはできない。

 

ーマンション管理協会 過去問よりー

 

解答

誤っているものはどれか。   を見つける。

 

1 Bは101号室の敷金として20万円をAに差し入れているが、Bは、Aに対し、当該敷金返還請求権20万円のうち10万円と5月分の賃料10 万円とを相殺することはできない。

B(賃借人)からA(賃貸人)に対して敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。と言う判例があります。

貸室の返還時には敷金返還請求権が発生します。

この選択肢は  です。

 

 

2 Bが101号室の故障したガス給湯設備の修繕費用として適切である10 万円を支出し、AB間に費用負担の特約がないときは、Bは、Aに対し、当該費用の償還請求権10 万円と5月分の賃料10 万円とを相殺することができる。

まず、民法608条(賃借人による費用の償還請求):
第1項:賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。

第2項:賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第196条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

必要費とは現状の建物価値を維持するための費用。
有益費とは物件の価値を増加させる費用。

ガス給湯設備の修繕費用は必要費なので、直ちにその償還を請求することができる。

よってこの選択肢は  です。

 

 

3 BがAに対し弁済期が到来した50 万円の貸金債権を有しているとき、Bは、Aに対し、当該貸金債権と101号室の5月分の賃料10 万円及びいまだ支払期限の到来していない6月から9月までの賃料40 万円とを相殺することができる。

相殺を考える時、自働債権と受動債権を知っておかねばなりません。

自働債権は相殺する側の債権。
受動債権は相殺される側の債権。のこと。

相殺する場合、自働債権が弁済期にあれば受働債権が弁済期にあるかどうかは不問です。双方同意であれば相殺は可能。この場合、家賃を先払いしようというのだから、問題なさそうですね。

よって、 ○ 。

 

 

4 AがBに対して不法行為を行った結果、BがAに対する損害賠償債権30万円を有しているとき、Bは、Aに対し、損害賠償債権30万円のうち10 万円と101号室の5月分の賃料10 万円とを相殺することはできない。

民法509条(不法行為により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止):債務が不法行為によって生じたときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。

と言う規定があります。この規定を反対解釈すれば、自働債権とする相殺はできる。となります。

この問題の場合、Bの債権が自働債権になります。

BがAに対して相殺する事はできる。

よって、この選択肢は  。

第 14問の答えは  4  です。

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