被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法が公布されたのは、平成7年(1995)です。平成7年に何があったか勿論ご存知ですよね。そうです、阪神淡路大震災が1月7日に発生しました。
阪神淡路大地震はマンションの復旧か建て替えかという問題をめぐり区分所有者の間で意見が大きく食い違いました。このときにはまだ法
区分所有法の制定された昭和37年(1962)には建て替えに関する規定はなく、民法規定を取り入れ、建て替えるには全員の合意が必要でした。
昭和58年(1983)の改正で、5分の4以上の賛成で建て替え決議ができるということになりましたが、なかなか5分の4以上の賛成も難しい問題でした。
そこに平成7年の阪神淡路大震災が発生し、平成14年にマンション建替え円滑化法ができ、建て替え要件がかなり緩和されました。
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平成30年度 第11問
〔問 11〕 大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより、区分所有建物の全部が滅失した場合における、被災区分所有建物の敷地共有者等の集会に関する次の記述のうち、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(平成7年法律第43 号)の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 敷地共有者等の集会を開くに際し、敷地共有者等に管理者がない場合の集会の招集権者は、議決権の5分の1以上を有する敷地共有者等であって、この定数を規約で減ずることはできない。
2 敷地共有者等の集会を招集するに当たり、敷地共有者等の所在を知ることができないときは、集会の招集の通知を、滅失した区分所有建物に係る建物の敷地内の見やすい場所に掲示してすることができるが、敷地共有者等の所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。
3 区分所有建物の全部が滅失した後に敷地共有者等が敷地共有持分等を譲渡した場合であっても、滅失の当時にその敷地共有持分等を有していた者は敷地共有者等の集会における議決権を有する。
4 集会における再建決議によって建築する建物は、滅失した区分所有建物に係る建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地上に建築しなければならない。
ーマンション管理協会 過去問よりー
解答
誤っているものはどれか。✖を見つけます。
1 敷地共有者等の集会を開くに際し、敷地共有者等に管理者がない場合の集会の招集権者は、議決権の5分の1以上を有する敷地共有者等であって、この定数を規約で減ずることはできない。
左記文中の青字部分をクリックして被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(公布時)の内容を一通り把握しておいてください。
第2条 第3項:再建の集会は、議決権の五分の一以上を有する敷地共有者等が招集する。
と、明確に書いてあります。 よってこの選択肢は ○です。
2 敷地共有者等の集会を招集するに当たり、敷地共有者等の所在を知ることができないときは、集会の招集の通知を、滅失した区分所有建物に係る建物の敷地内の見やすい場所に掲示してすることができるが、敷地共有者等の所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。
問題文中の被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(平成7年法律第43 号)をクリックして内容確認をお願いします。こちらはより詳細な内容となっています。
第三条 2項:敷地共有者等集会を招集する者が敷地共有者等(略)の所在を知ることができないときは、同条第一項の通知は、滅失した区分所有建物に係る建物の敷地(略)内の見やすい場所に掲示してすることができる。
第三条 3項:前項の場合には、当該通知は、同項の規定による掲示をした時に到達したものとみなす。ただし、敷地共有者等集会を招集する者が当該敷地共有者等の所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。
そのまま読んで、この選択肢は ○ です。
3 区分所有建物の全部が滅失した後に敷地共有者等が敷地共有持分等を譲渡した場合であっても、滅失の当時にその敷地共有持分等を有していた者は敷地共有者等の集会における議決権を有する。
これは基本的な問題です。
被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第二条:
大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより建物の区分所有等に関する法律(区分所有法に言う区分所有建物)の全部が滅失した場合(略)において、(略)その建物に係る敷地利用権(略)が数人で有する所有権その他の権利であったときは、その権利(略)を有する者(略)は、その政令の施行の日から起算して三年が経過する日までの間は、この法律の定めるところにより、集会を開き、及び管理者を置くことができる。
と書いてあります。
その権利を有する者が「敷地共有者等」ですから、すでに権利を譲渡してしまった者は「敷地共有者等」ではありません。よって、議決権はありません。 この選択肢は ✖ です。
4 集会における再建決議によって建築する建物は、滅失した区分所有建物に係る建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地上に建築しなければならない。
被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第四条:
敷地共有者等集会においては、敷地共有者等の議決権の五分の四以上の多数で、滅失した区分所有建物に係る建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に建物を建築する旨の決議(以下「再建決議」という。)をすることができる。
書いてあるとおり、元の土地及び、一部を売却して残りの土地に建築したり、隣地を購入してそこを含めて建築することがdき
ますが、全く別な土地に建て替えることはできません。
この選択肢は ○ です。
この問題の答えは 3 です。