イントロダクション

マンションの理事長は激務です。

管理会社はこの理事長及び役員の皆様の負担を成り代わって負担するのが仕事です。マンションの各種事故、住民トラブル、大規模修繕、理事会の招集、総会の招集、理事会、総会の場所の確保、管理費、修繕積立金の集金及び管理。などなど。

漏水が発生したり、機械式駐車場が故障したり、誤駐車が発生したり騒音問題で訴訟にまで発展。数世帯のマンションから千世帯の大型マンションまで日々問題発生しています。マンション管理士、管理業務主任者、理事長、理事が一丸となって問題に当たらねばならないのです。

問題を解く前に

耳にタコ!と怒られそうですが。

これからマンション管理士の資格を取るために、勉強を始めるあなたにやっていただきたいことは、まず「マンション管理の知識」を一度通読することです。意味がわからなくても、きちんと最後まで読んでください。それが最も大切なこと。会社や学校の行き帰り、空いた時間を使って、一回必ず読み切る・・・これが最重要!

 

私もわからないまま読みました。読み進めるうちに、知ってるつもりでいた単語が法律上別な意味を持っていることがわかってきました。法律用語は自分勝手な常識では理解できません。客観視できる目が必要。

その際、線を引いたりマーカーを塗ったりしないことが重要です。語句を頭に入れてくれればよいのです。区分所有法、標準管理規約、管理、相続。いろいろな言葉が出てきますが、今まで知っていた意味と違うことが本当に多いのです。

語句を読み頭に入れておいてください。そして、問題に当たりながら2回通読してください。その後は赤線を引こうが、各色のマーカーを塗ろうが、書き込みをしようが構いません。

平成24年度マンション管理士試験 第5問

【問 5 】
管理者に関する次の記述のうち、区分所有法、民事訴訟法及び民事執行法の規定によれば、誤っているものはどれか。

 

1、管理者は、区分所有者のために、原告又は被告となることができるものであり、管理者が原告又は被告となった訴訟の確定判決は、区分所有者には生じるが、管理者には生じない。

 

2、管理者は、その職務に関し、原告又は被告となることができるものであり、区分所有法で定める管理者の権限の範囲内において、原告又は被告となることが認められる。

 

3,管理者は、原告又は被告となることができるものであるが、仮差押え、仮処分の申請をし、又はその相手方となること並びに民事執行及び民事調停の当事者になることもできる。

 

4,管理者は、規約により原告又は被告になったときは、遅滞なく、区分所有法にその旨を通知しなければ為らないが、区分所有者に対し訴訟への参加を求める訴訟告知をする必要はない。

 

ーマンション管理センター 過去問よりー

解答

誤りを見つける。

管理者ってどういう人?
一般的なマンションでは「理事長」と考えて良いと思います。

 

<参考>区分所有法 25条、   クリックして内容確認してください。

<参考>区分所有法 26条

上記の区分所有法の文言を考慮して問題にあたってゆきましょう。

区分所有法、民事訴訟法及び民事執行法の規定を考慮して誤った選択肢を選ぶ。を選ぶ。

 

 

1 、管理者は、区分所有者のために、原告又は被告となることができるものであり、 管理者が原告又は被告となった訴訟の確定判決の効力は、区分所有者には生じるが、管理者には生じない。

区分所有法第26条第4項:管理者は、規約又は集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。

管理者は区分所有者でも、外部の人間でもなれる。
原告又は被告となる」とは、当事者になるということ。

<参考>民事訴訟法115条    クリックして内容確認してください。

上記の民事訴訟法115条(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲):
1、当事者
2、当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人。

裁判の当事者=管理者。
他人=区分所有者

管理者が区分所有者のために原告又は被告となった場合のその区分所有者。  という関係。

よって、確定判決の効力は当事者(管理者)及び他人(区分所有者)に及ぶ。

「当事者」と「他人」に効力が及ぶということなので「管理者には生じない」は

 

 

 

2 、管理者は、その職務に関し、原告又は被告となることができるものであり、 区分所有法で定める管理者の権限の範囲内において、原告又は被告となることが認められる。

区分所有法第26条の4項(上記<参考>参照)が当てはまります。よって

 

 

 

3 、管理者は、原告又は被告となることができるものであるが、仮差押え、仮処分の申請をし、又はその相手方となること並びに民事執行及び民事調停の当事者となることもできる。

区分所有法第26条の2項(上記<参考>参照)が当てはまります。よって

 

 

4 、管理者は、規約により原告又は被告になったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならないが、区分所有者に対し訴訟への参加を求める訴訟告知をする必要はない。

訴訟告知とは:
民事訴訟の当事者が、利害関係のある第三者に対して、現在訴訟中であると通知する制度のこと。

区分所有法第26条第5項(上記<参考>参照):
管理者は、規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。。

管理者は原告又は被告になったときには区分所有者を代理しているのだから通知しさえすれば参加を求める訴訟告知をする必要はない。よって

 

この問題の解答は「1」です。

 

蛇足説明
区分所有法第26条の3項:管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。とはどういうことかと言うと:
管理者が修繕などで勝手に業者選定して工事を行った場合、区分所有者が異議を唱え、その業者に代金は払えないなどといったトラブルが生じたとき、業者は善意の第三者であるから、その業者に代金の支払いはしなくてはならない。問題は管理者にあるというふうに考えれば良いでしょう。

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