イントロダクション

マンションでの苦情の多くは、騒音問題、ご近所トラブル、駐車場での誤駐車。住人間で解決できることが非常に多い。建物の劣化や漏水事故、設備の不具合などは技術的に解決可能ですが、住人間のトラブルは非常に問題の根が深く対応に苦慮します。

管理会社とは管理組合から管理業務委託契約によって委託業務をするのが仕事です。

理事長の不正行為が発生する。騒音問題の対応がこじれる。誤駐車が絶えない。エントランスに誰かがゴミを落とした。(中には共用部に大便をしてすましている人もいます)ゴミの分別ができていない。

これらは管理会社の怠慢だ。こんなことを言っている区分所有者は管理業務委託契約を無視しているとしか言いようがありません。

管理業務委託契約とは
事務管理業務
基幹事務  :1,組合会計の収支の調定。2,組合会計の出納。3,維持修繕業務。
基幹事務以外:理事会、総会の実施。その他。
管理員業務 ・受付業務、・点検業務、・立ち会い業務、・報告連絡事務。
清掃業務:  ・日常清掃、・特別清掃。
建物・設備管理業務:1、建物の点検調査、2、エレベーター、給水・排水、浄化槽、消防、駐車場等設備管理。

上記業務を管理組合から委託されているのであります。しかし、「それは業務範囲外です」などとそっけない対応をするのはあまりいい管理会社ではありません。できる限り住民に寄り沿って管理をしてほしいものです。

騒音問題や住民間トラブルの対応が悪いと管理会社を訴え、裁判にまで持ち込まれた場合、管理業務委託契約の観点から管理会社寄りの判決になります。

問題を解く前に

しつこいようですが・・・・。

これからマンション管理士の資格を取るために、勉強を始めるあなたにやっていただきたいことは、まず「マンション管理の知識」を一度通読することです。意味がわからなくても、きちんと最後まで読んでください。それが最も大切なこと。会社や学校の行き帰り、空いた時間を使って、一回必ず読み切る・・・これが最重要!

私もわからないまま読みました。読み進めるうちに、知ってるつもりでいた単語が法律上別な意味を持っていることがわかってきました。法律用語は自分勝手な常識では理解できません。客観視できる目が必要。

その際、線を引いたりマーカーを塗ったりしないことが重要です。語句を頭に入れてくれればよいのです。区分所有法、標準管理規約、管理、相続。いろいろな言葉が出てきますが、今まで知っていた意味と違うことが本当に多いのです。

語句を読み頭に入れておいてください。そして、問題に当たりながら3回通読してください。その後は赤線を引こうが、各色のマーカーを塗ろうが、書き込みをしようが構いません。

平成24年度マンション管理士試験 第3問です。

【問 3 】

以下の事実関係に係る次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。ただし、甲マンションの管理組合(区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体をいう。以下同じ。)の規約は、マンション標準管理規約(単棟型)(以下「標準管理規約」という。)と同様であり、また、楽器の演奏については、別段の定めはないものとする。

甲マンション401号室の区分所有者Aは、高校生の娘Bが演奏会に向けて深夜までピアノの猛練習をすることを容認していたので、401号室の近くの居住者はその騒音に悩まされている。近隣の居住者からの再三の中止要請にもA及びBは応じず、特に、直下の301号室のCはその騒音により睡眠障害になり、通院を余儀なくされ仕事も休まざるを得ない状況となった。
ある日、Cが理事長Dに事情を説明して「理事会で解決して欲しい。」と頼んだところ、Dは、理事会で協議し、AとBの実名を挙げて騒音行為を具体的に列挙し、今後の対応として、「”一切の楽器の演奏を禁止する。”との細則を理事会で定めた。」旨の文書を作成して、全住戸へ配布し、掲示板に掲示した。
それを知ったAは理事会の会議中に押し入り、「AとBの実名を挙げて名誉を毀損したことについて、全住戸へ謝罪文書を配布しろ。」と要求したが、出席していた理事数名から逆になじられたことに激昂し、Aはそれらの理事に暴行を働いた。
その後、Aは、理事長や理事らをひぼう中傷する内容の文書の配布や貼付を繰り返し、また、マンション管理業者の業務を妨害するなどしている。これらのAの行為は、単なる役員個人に対するひぼう中傷の域を超えるもので、同行為により役員に就任しようとする者がいなくなる等それにより管理組合の業務の遂行や運営に支障が生ずるなどしてマンションの正常な管理又は使用が阻害される状況となっている。

1、Cは、A及びBに対して不法行為に基づく損害賠償を請求することができる。

 

2、「一切の楽器の演奏を禁止する。」との最速は、無効である。

 

3、Aの理事に対する暴行について、名誉毀損に対する正当防衛は成立しない。

 

4、Aが理事会へ押し入ってからの一連の行為は、共同利益は違反行為に当たらない。

 

ーマンション管理センター 過去問よりー

解答

この問題は、誤っている物を探す。を探す。

区分所有法及び民法と書かれていますので、民法(常識に近い)も考慮して考えましょう。

A=騒音元401号室の親(所有者)。

B=騒音元の高校生(女子)。

C=直下階301号室の住人。(睡眠障害)

D=理事長。

 

1 C(直下階301号室の住人)は、A(騒音元401号室の親)及びB(騒音元の高校生)に対して不法行為に基づく損害賠償を請求することができる。

⇨Cは騒音で睡眠障害になり、病院に通い、仕事も休むという実損害を被っているので損害賠償請求はできる。

 

2 「一切の楽器の演奏を禁止する。」との細則は、無効である。

⇨「一切の」という極端な決まりはどうかな?保留

 

3 A(騒音元401号室の親)の理事に対する暴行について、名誉殴損に対する正当防衛は成立しない。

正当防衛とは、突然の暴力や不当な圧力を受けたときに、自分もしくは他人の生命や権利を守るためにやむを得ず対抗措置を取ること。法律上の責任は取られない。ということ。

Aは理事会の会議に押し入って暴行したのだから正当防衛は成立しない。

 

4 Aが理事会へ押し入ってからの一連の行為は、共同利益背反行為に当たらない。

⇨共同利益背反行為とは、1、建物を毀損する行為。2、建物の管理又は使用に関して共同の利益に反する行為。

Aの行いは物損こそなかったものの、大事な理事会の構成員のなり手がいなくなるような悪質な行いです。共同利益背反行為そのものです。ここは当たらないと書いてあるので

 

問3の答えは4です。

 

保留の2について一律禁止はやりすぎであるのと、使用細則は総会の決議事項で、議決権の4分の3以上の賛成で成立する。故に、「”一切の楽器の演奏を禁止する。”との細則を理事会で定めた。」は無効。よって

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