イントロダクション

遺産相続 いろんな問題をはらんでいます。

仲の良かった兄弟が相争い、ミステリーの世界のみならず現実でさえ殺人事件に発展する揉め事になる事があるとか。

それは大富豪の場合で、一般庶民はもう少し現実的なところで争うことになります。

マンションも老朽化して、バブル期のような資産価値はなくなってしまいました。
スキー場のあるリゾートマンションは売出し当時4,000万くらいのマンションが数百万円でも売れなくなっているらしいですね。

土地付きの一戸建ての住宅も建物の価値はほぼゼロ。更地にするために建物を取り壊すのにかなりのコストがかかるようです。

そんなわけで、預金や有価証券等の分割は容易ですが、マンションや戸建て住宅等の場合、差し引きマイナスになることがままあり、「相続放棄」になってしまうことがある。

そんな相続に関する問題です。毎年1問出ます。

平成24年度第12問です。

【問 12】
Aが死亡し、その子B、C及びDが、各3分の1の割合でAの財産を相続した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

 

1、Aがマンションの一室の区分所有者であった場合で、Aの死亡前からAと同居していたBがそのままマンションに居住しているときには、遺産分割の前でも、C及びDは共同してBに対して、その明け渡しを請求することができる。

 

2、Aがマンションの一室の区分所有者であった場合で、Eにそれを賃貸していたが、Aの死亡前に、A E 間の賃貸借契約が有効に解除され契約が終了していたときには、その後も退去していないEに対して、Cは単独でその明け渡しを請求することができる。 

 

3、Aがマンションの一室の区分所有者であった場合で、Aの死亡後、Bが、C及びDに無断で、第三者であるFにそのマンションを使用させているときには、C及びDは共同してFに対して、その明け渡しを請求することができる。

 

4、Aがマンションの一室をGから賃借し、1人でそこに居住していた場合、Gは、Aの死亡を理由として、その賃貸借契約を解除することができる。

 

ーマンション管理センター 過去問よりー

解答 

民法の規定及び判例を問う問題。を探す問題。

1、Aがマンションの一室の区分所有者であった場合で、Aの死亡前からAと同居していたBがそのままそのマンションに居住しているときには、遺産分割の前でも、C及びDは共同してBに対して、その明渡しを請求することができる。

Aが死亡しBCDの同等の権利を持つ3人の相続人がいる。その場合の問題です。

・3人のうち2人が共同してもうひとりに退去を請求できるか

民法 第898条(共同相続の効力)    左記クリックで内容確認できます。

 Bも共有者の一人であるから、CDが共同してもBに明け渡しをもとめることはできない。(最高裁判例)よって

 

 

2 Aがマンションの一室の区分所有者であった場合で、Eにそれを賃貸していたが、Aの死亡前に、AE間の賃貸借契約が有効に解除され契約が終了していたときには、その後も退去していないEに対して、Cは単独でその明渡しを請求することができる

 A―E間の契約は有効に解除されている。そのまま退去しないEは不法占拠者である。

・不法占拠者に対する明渡し(返還)請求は、共有関係において、保存行為と考えられます。よって、共有者の一人であるCは単独で明渡し(返還)請求できます。よって

 

 

3 Aがマンションの一室の区分所有者であった場合で、Aの死亡後、Bが、C及びDに無断で、第三者であるFにそのマンションを使用させているときには、C及びDは共同してFに対して、その明渡しを請求することができる。

相続人が複数あるときは、相続財産はその共有に属する。

B,C,Dの三人が相続人であった場合、Bがその部屋をFに貸し出した場合、FはBの使用できる範囲でその部屋を使用できることになります。よって、C,Dは共同してFにその明け渡しを求めることはできない。よってこの選択肢は

 

 

4 Aがマンションの一室をGから賃借し、1人でそこに居住していた場合、Gは、Aの死亡を理由として、その賃貸借契約を解除することができる。 

民法 第896条 (相続の一般的効力)  左記クリックで内容確認できます。

(使用借り主の地位、委任者・受任者たる地位、組合員たる地位などは当事者の死亡によって消滅する。これに対し、売買代金債権、賃借権は死亡によっても消滅せず、相続の対象になる。)

賃貸借契約において、賃借人の死亡は賃貸借契約の終了原因とはならない。よって

    答えは2です。

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