標準管理規約を第何条、第何項というように、法律のように扱っていますが、これはあくまでも政府が決めた指針の一つで、強制されるものではなく、管理組合が個々で決まりを作り、管理規約を作成しても一向に構いません。区分所有法や

建築基準法、消防法等々に準拠していればよいわけです。しかし、ほとんどのマンションではこの標準管理規約を用いており、標準管理規約にもとづいて使用細則を決めて、マンション独自の困りを作っているのが実情です。

たとえば、ペット飼育やゴミ出しエレベーターの使用など細かい点ではマンション毎の独自性があります。

令和 1年度 第 31問

〔問 31〕 管理組合における組合員の氏名等の取扱いに関する次の記述のうち、標準管理規約及び個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)によれば、適切なものはどれか。

 

1 組合員の氏名は個人情報の保護に関する法律で保護される個人情報に当たることから、新たに区分所有権を取得して組合員となった区分所有者は、その氏名を管理組合に届け出ることを拒否することができる。

 

2 高齢者等の災害弱者に係る情報は、個人のプライバシーに深く関わるため、災害時等の、人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であっても、あらかじめ本人の同意を得ていない限り、地域の防災関係組織等に提供することはできない。

 

3 組合員名簿の管理を管理会社に委託するに当たっては、氏名の届出の際に、管理会社に対し情報提供することの同意をあらかじめ得ていない区分所有者の氏名については、第三者提供に当たるので、管理会社に提供することはできない。

 

4 区分所有者の親族を名乗る者から組合員名簿につき閲覧請求を受けた理事長は、その者が親族関係にあることが確認できた場合においても、直ちに閲覧請求に応じることはできない。

 

ーマンション管理士協会過去問ー

解 答

適切なものはどれか。  をさがす問題です。

 

1 組合員の氏名は個人情報の保護に関する法律で保護される個人情報に当たることから、新たに区分所有権を取得して組合員となった区分所有者は、その氏名を管理組合に届け出ることを拒否することができる。

標準管理規約第31条(届出義務):
新たに組合員の資格を取得し又は喪失した者は、直ちにその旨を書面により管理組合に届け出なければならない。

管理組合への届け出は義務になっています。

よって    です。

 

 

 

 

2 高齢者等の災害弱者に係る情報は、個人のプライバシーに深く関わるため、災害時等の、人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であっても、あらかじめ本人の同意を得ていない限り、地域の防災関係組織等に提供することはできない。

 

個人情報保護法 第23条(第三者提供の制限):
1 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。
一 法令に基づく場合
二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

 個人情報取扱事業者は、第三者に提供される個人データ(要配慮個人情報を除く。以下この項において同じ。)について、本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止することとしている場合であって、次に掲げる事項について、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置くとともに、個人情報保護委員会に届け出たときは、前項の規定にかかわらず、当該個人データを第三者に提供することができる。
 第三者への提供を利用目的とすること。
 第三者に提供される個人データの項目
 第三者への提供の方法
 本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること。
 本人の求めを受け付ける方法

 個人情報取扱事業者は、前項第二号、第三号又は第五号に掲げる事項を変更する場合は、変更する内容について、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置くとともに、個人情報保護委員会に届け出なければならない。

 個人情報保護委員会は、第二項の規定による届出があったときは、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、当該届出に係る事項を公表しなければならない。前項の規定による届出があったときも、同様とする。

 次に掲げる場合において、当該個人データの提供を受ける者は、前各項の規定の適用については、第三者に該当しないものとする。
 個人情報取扱事業者が利用目的の達成に必要な範囲内において個人データの取扱いの全部又は一部を委託することに伴って当該個人データが提供される場合
 合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合
 特定の者との間で共同して利用される個人データが当該特定の者に提供される場合であって、その旨並びに共同して利用される個人データの項目、共同して利用する者の範囲、利用する者の利用目的及び当該個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているとき。
 個人情報取扱事業者は、前項第三号に規定する利用する者の利用目的又は個人データの管理について責任を有する者の氏名若しくは名称を変更する場合は、変更する内容について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置かなければならない。

 

 

個人情報保護法 第23条(第三者提供の制限)第1項第二号:人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。及び第四号:国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

災害時等の、人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合は別。

よって  ✖  です。

 

 

 

 

 

3 組合員名簿の管理を管理会社に委託するに当たっては、氏名の届出の際に、管理会社に対し情報提供することの同意をあらかじめ得ていない区分所有者の氏名については、第三者提供に当たるので、管理会社に提供することはできない。

個人情報保護法 第23条(選択肢の2に全文記載しました) 第5項第1号:
 次に掲げる場合において、当該個人データの提供を受ける者は、前各項の規定の適用については、第三者に該当しないものとする。
 個人情報取扱事業者が利用目的の達成に必要な範囲内において個人データの取扱いの全部又は一部を委託することに伴って当該個人データが提供される場合

管理会社はこの個人情報取扱事業者に当たります。よって、管理会社は組合と同じく居住者個人データを共有できます。

よって  ですね。

 

 

 

 

 

4 区分所有者の親族を名乗る者から組合員名簿につき閲覧請求を受けた理事長は、その者が親族関係にあることが確認できた場合においても、直ちに閲覧請求に応じることはできない。

マンション標準管理規約第64条(帳票類等の作成、保管):
理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
同コメント②:組合員名簿の閲覧に際しては、組合員のプライバシーに留意する必要がある。

「利害関係人」とは、敷地、専有部分に対する担保権者、差押え債権者、賃借人、組合員からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者等法律上の利害関係がある者をいい、単に事実上利益や不利益を受けたりする者、親族関係にあるだけの者等は対象とはならない。 (マンション標準管理規約第49条コメント)

このような記載があり、単に親族と言うだけで名簿の開示はできない。

この選択肢は    。

 

この問題の答えは  4  です。

 

 

 

 

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